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ショートインタビュー『Gorogoa』

Posted on 2012年10月14日日曜日 | No Comments

デモをプレイしてひどく気に入った『Gorogoa』。デモレビューを書いたはいいが、作品に関する情報が不足しており、モヤモヤしてしまった。そこで開発者にコンタクトをとったところ、いくつか回答をいただくことができた。

本稿では、開発者より許可を得てその回答を掲載する。これを通じて『Gorogoa』の源泉を少しでも知っていただければ、と思う。なお、原文も併せて掲載するので、英語が読める方はそちらを参照してほしい。

関連記事:
デモレビュー『Gorogoa』
http://nydgamer.blogspot.jp/2012/10/gorogoa.html

開発のきっかけ

――自己紹介をお願いできますか?
Jason Jason Robertsと申します。『Gorogoa』が処女作です。『Gorogoa』に取り組む前は、ゲーム会社ではないところでソフトウェア開発を行なっていました。それでも時間のあるときに画を描くのは大好きでしたし、頭のなかにはいつもゲームのアイディアが浮かんでいましたよ。
<原文>
My name is Jason Roberts. Gorogoa is my first game. Before I started working on it I was software developer, outside the game industry. But I loved to draw in my spare time and always had game ideas floating round in my head.
――開発はおひとりでなさっているのですか?
Jason そうです。
<原文>
Yes.
――『Gorogoa』のアイディアはどこから来たのでしょうか?
Jason パネルを動かして、互いのストーリーに影響を及ぼすっていうのは、インタラクティブコミックのアイディアとして始まったものなんだ。ただ、このアイディアは時間の概念が絡んで(当初はコミック上の各パネルが、それぞれ異なった時間を表現していたんだよ)、今公開しているゲームよりもずっと複雑だった。だからもっとシンプルなデザインで進めることにしたんだ。
<原文>
It started out as an idea for an interactive comic, whose panels could
be moved around and interact with one another to change the story. This
idea was actually more complicated than the current game, since it
involved the element of time (since each panel in a comic represents a
different point in time). But I decided to start out with a simpler design.

影響を与えている作家や作品

――お好きなアーティストをお教えください
Jason 特に大きな影響を受けた漫画家は、もっとも奇妙で、それでいて素晴らしいレイアウトを生み出すChris Wareかな。イラストレーターだと、Christopher Manson、Chris Van Allsburg、Gustav Dore、それにEdward Goreyなんかが好きだよ。ビデオゲーム製作者に限って言えば、上田文人はこのリストのなかでいちばん上に位置するアーティストだね。それとここまでその名を挙げていないにも関わらず、スタジオジブリの映画からは多大な影響を受けているというのは言っておかなきゃならない。
<原文>
A comic artist I was especially inspired by was Chris Ware, who makes
the most strange and wonderful layouts . Illustrators I like are
Christopher Manson, Chris Van Allsburg, Gustav Dore and Edward Gorey. As
far as video game makers, Fumito Ueda would be at the top of the list.
And even though I haven't said it before, I'd have to say the films of
Studio Ghibli have also had a deep effect.
―インスピレーションを受けているものはなんですか?
Jason 上述したすべてのアーティスト、なかでもChris Wareによる2次元平面上の美しいストーリーパネルは特別だね*1

*1 意味がうまくとれなかった。Chris Wareの大ファンであることはわかるのだが。
<原文>
Everyone mentioned above, especially Chris Ware for his beautiful
arrangements of story panels on a 2D plane.

回答のなかで言及されている人物に関する補足

彼が名を挙げたアーティストについて、簡単にまとめておく。

Chris Ware

アメリカの漫画家。彼の手がけたオークパーク&リバーフォレスト歴史協会(The Historical Society of Oak Park and River Forest)のポスターは、丸で囲まれた特定のスポットのみ時間軸が異なって描かれており、『Gorogoa』の雰囲気を感じ取ることができる。

そのほかいくつか作風を知ることのできそうなリンクを、以下にいくつか貼っておく。
オークパーク&リバーフォレスト歴史協会のポスターの一部
※下記URLから引用
The Historical Society of Oak Park and River Forest「Art Posters by Chris Ware」
http://www.oprfhistory.org/about/history_store/product_categories/Art_Posters_by_Chris_Ware,8.aspx
ADAM BAUMGOLD GALLERY「CHRIS WARE BUILDING STORIES September 8 - October 27, 2012」
http://adambaumgoldgallery.com/Ware/2012/building_stories.htm
Black Balloon Publishing「"Building Stories" & Chris Ware in a Few Lines」
http://blackballoonpublishing.com/blog/building-stories-chris-ware-few-lines

Christopher Manson

アメリカの児童図書作家・イラストレーター。代表作である『MAZE: Solve the World's Most Challenging Puzzle』は、1万ドルを賭けた謎解きコンテストが行われたらしい。作品がどのようなものなのかは、以下のWebアーカイブで見ることができる。

Open Book Systems「Maze」
http://archives.obs-us.com/obs/english/books/holt/books/maze/

Chris Van Allsburg

アメリカの作家、児童図書のイラストレーターも手がける。
公式サイトにあるインタラクティブな画は独特の雰囲気を放っている
※下記URLから引用
Chris Van Allsburg公式サイト
http://www.chrisvanallsburg.com

Gustav Dore

19世紀のフランスの画家。版画や彫刻なども創作していた。以下のサイトに、多数の作品がまとめて掲載されている。

Art Passions「Gustav Dore Art Collections」
http://dore.artpassions.net/

Edward Gorey

アメリカの絵本作家。日本でも多数の作品が翻訳、出版されているため、ご存知の方も多いだろう。子どもたちが名前のアルファベット順に死んでいく、『ギャシュリークラムのちびっ子たち(原題:The Gashlycrumb Tinies)』の表紙は特に有名だと思う。

『ギャシュリークラムのちびっ子たち』の表紙
※下記URLより引用
河出書房新社『ギャシュリークラムのちびっ子たち』
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309264332/

上田文人

日本のゲームデザイナー。彼や彼の作品のファンであると公言している国外のゲームクリエーターも多い。『ICO』、『ワンダと巨像』が代表作。

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